算数・数学は社会生活に役立つばかりでなく,科学技術を支える物理学,経済政策を支える経済学などの諸学問の基礎として,また市場調査や生産管理等で広く社会に用いられてきました。安価で高品質のコンピュータが一般に普及する21世紀にはあらゆる分野で数学が使われるものと考えられ,諸外国ではすべての子供に高いレベルの数学を習得させるよう数学教育の改革が進められています。数学ができないと進路が閉ざされ,職業選択の幅が狭くなると考えて,数学の能力をつけることが未来の扉を開く鍵とさえ考えている国もあります。
算数・数学を学習することの大切さは,数学的な知識・技術が役に立つからということばかりではありません。数学の学習を通して,いろいろな能力や態度を育てることができるからです。数学の学習を通して,論理的な思考力や問題解決力が養われることは広く知られていますが,法則を発見したり工夫したりする創造力,主体的にものを考える力と態度なども育てることができます。情報を選択しそれをうまく組み合わせて使う力,条件に基づいて正確に実行する力,仮定をおきその仮定から導かれる結果を吟味する力,起こり得る場合を丁寧に
列挙する力,空間を認識し想像する力なども育てることができます。それらの能力と態度は,人間として生きていく上で欠かせない大切なものといえるでしょう。
「国際算数・数学能力検定」の意義は,そうした能力や態度がどの程度育っているかを調べ,より高い能力や態度を身につけることを励ますことにあります。数学的知識・技能は覚えて身につけているだけでなく,数学をよく理解しうまく使うことが出来る知識・技能になっていることが大切です。この「算数・数学能力検定」は学習してきた算数・数学の力がそのようになっているかを確かめるという意義もあります。
日進月歩,急激に変化する社会において将来を予測した準備教育だけで終わることはできません。このような時代の教育は生涯学び続けていく力と態度を育てることに力を入れなければなりません。数学ができること,数学の学習を通して育てられる上述のような能力と態度は,生涯学習の基礎となり「生きる力」として欠かせないものです。この検定を通して,そうした能力と態度がのびていくことを楽しまれるよう期待しています。